2007年4月の日記


2007年4月1日(

 村井(兄)さん、正社員採用試験に、落っこちてしまったようです。

 くぅ。残念でしたね、村井さん。

 受かる確率が高いという前評判だったのに、ダメだったとは。

 まさか……。
 やっぱり、「飯間チーフみたいな社員にはなりたくない。後藤田チーフみたいな、スケベな社員になりたいとか、そういうことを言っちゃったんじゃあ!?

 それを言ったら、さすがに落ちますって。

 だってそれ、文章の内容がおかしいもの。

 飯間チーフだって、「後藤田チーフみたいな、スケベな社員」なんですから。

 さて。話は変わって。
 今日は私、なんだか知らんけど、モテちゃいました。

 具体的に、誰にモテたのかというと、ゆで豚の調理実演&販売促進をしていた、初対面の、36歳のマネキンさんに。

 彼女、私のことを、「嵐の二宮和也に似ている」だとか、「笑った顔はV6の三宅健にソックリ」だとか言い、絶賛するのです。
 せんべいやゼリーをプレゼントしてくれたり、試食用のゆで豚を、食べさせてくれたりもしました。
 あげくの果てには、
あたしが15歳若ければ、絶対、メールアドレスを聞いたりして、アタックしたのに
 などとまで、言ってくれちゃう始末。

 わけの分からない、この、私の評価の高騰ぶり。

 まさに、この世の春です。

 いやしかし、本当に、不可思議ですね。なぜ急に、こんな怪現象が起こったのか。
 だってそうですよ。もし仮に、私の知人友人たちに、「俺は二宮和也や三宅健に似ているか?」と尋ねてみたとしても、誰一人として、うなずく者はいないでしょう。

 うむ。全くもって、謎。
 お仕事を終えた私は、何がどうしてあんなに褒められちゃったのかと、頭を抱えながら、同時に喜びに浸りながら、家路につきました。

 その道中、あることに、気づいてしまいました。

 今日ってさ、エイプリルフールじゃん。


2007年4月2日(月)

 古谷チーフが、春井さんの伝説を、もう一つ、明かしてくれました。

 これ、古谷チーフも、人づてに聞いた話らしいのですが、春井さん、入社したてのころ、肉の入った箱が、持てなかったそうなのです。

 非力すぎて。

 だから春井さん、店舗に配属されて、真っ先にやらされた仕事は、筋トレだったそうです。

 なんだって彼、肉屋になろうなんて、思っちゃったんでしょうかね。

 そうだ。春井さんといえば、昨日、私をベタ褒めしていたマネキンさん、私に対して、こんなことも言っていたのです。

「春井さんって、すごい美形ですよね

 自分が絶賛されたことには首をかしげた私ですが、この発言には、納得しました。

 はい。そうなんです。
 意外に思われる方が多いかもしれませんが、春井さんという人、顔立ちは、かなり綺麗なのです。
 正直、美男子なのです。

 私や佐藤さんにいわせれば、平林副店長や渡辺チーフ、後藤田チーフ辺りも、なかなかカッコいい顔をしているのですが、春井さんは、彼らの、さらに上を行っています。

 決して、冗談ではありません。本当のことです。

 ただ、玉にキズなのは、彼、よく、鼻毛が飛び出ているんですよね。


2007年4月3日(火)

 今日は、株式会社ラスボスの、入社式がありました。
 我々新入社員の、正式な入社日は、一律、4月1日。入社自体は、もう、済ませてしまっているのですが、式は、今日なのです。

 実際に業務に従事するのは10月からである私も、この式には、参加しました。
 これで晴れて、身も心も、ラスボス社員です。

 まあ、実際に働き始めるのは、半年後なんですけどね。

 入社式の会場は、ラスボス駅近くにある、ラスボス本社よりはだいぶ立派なビルの、一室でした。
 今日の式のためだけに、わざわざ、借りたみたいです。

 式には、残念ながら、社長は出席していませんでした。
 どうしても外せない、大事なお仕事が入ってしまったため、出られなくなってしまったそうなのです。

 だけれども、社長よりも偉い、いわば裏ボスである、会長は、出席していました。
 我々新入社員は、会長と会うのは、今日が初めてになります。

 壇上に立っての、会長の挨拶。
 これを聞いた私、あることを、見抜いてしまいました。

 どうやら、社長の長話は、会長譲りだったようです。


2007年4月4日(水)

 先月の某日のこと。レジ担当の、あるパートさんに、「4月一杯でバイトを辞める」と話したら、
ダメ! 絶対ににダメ! 辞めないでよ……
 と、悲しそうに言われた上に、泣き真似までされてしまいました。

 この話と、それから、今月1日の、マネキンさんにモテちゃった話。

 これらを今日、佐藤さんに、実に自慢げに、語り聞かせてあげたのです。

 そしたら彼女、私に、こう言いました。

「先輩、もう、人妻キラーになればいいじゃないですか(笑)

 ふむ。なるほど。

 もし、ラスボスでやっていけなかったら、間男にでも転職するか。

 ……いや、やっぱりそれはイカンだろ、普通に考えて。

 だって、あんまり現実味がないもの。


2007年4月5日(木)

 先月、封筒に入れてポストに投函した、ライダーカードR第1記録の、No.122と131のカード。

 その、エラー修正済みバージョンが、本日、私のもとに届きました。

 これで今度こそ、第1記録、大完成だ!

 そうそう。届いたのは、修正版カードだけではありませんでした。
 カルビーさん、こちらが送った修正前のエラーカード2枚も、修正版のカードと共に、ちゃんと、送り返してくれたのです。おまけに、こちらが封筒に貼ったのと同額の切手まで、返してくださりました。

 その律儀さには、全くもって、感心してしまいます。

 しかしながら、あれですな。
 一度は、切手を貼らずに投函したがために、封筒が突き返されてきたっていうのに、今度は、その切手が、送り返されてくるとは。

 おお。なんという、運命の皮肉。


2007年4月6日(金)

 無謀だということは、百も承知しています。
 だけど私は、やることに決めました。

 この日記で描かれる人物たちを、読者の皆さんが、どう思っているのか。それが、知りたいのです。

 今までにこの日記に登場した、数多くの、ウチのスーパーの仲間たち。
 彼らの、人気投票を、実施します。

 私がバイトを辞めた後。5月中には、行う予定です。

 かなり、苦しい戦いになるでしょう。

 このサイトを訪れてくださるお客さんは、大体、1日に、わずか十数人。
 日記を読んでくれているお客さんが、ではありませんよ。サイトそのものに来てくださるお客さんが、十数人なのです。

 こんな有り様で、登場人物の人気投票なんかやったって、著しく寂しい結果になるのは、目に見えています。

 待っているのは、「全員合わせても、3票くらいしか入らなかった」なんていうオチかもしれません。

 そんな悲劇を避けるため、私は、こんな手を考えています。

 投票者1名につき、持ち票を、5票ほど差し上げようと思っているのです。

 これならば、たとえ、投票者が1人しかいなくても、全部で5票は入ることになりますからね。
 どうにかこうにか、カッコがつきます。

 それから、投票期間についてですが、一応、1週間から2週間くらいを、予定しています。
 しかし、票の入り具合を見て、期間を延長する可能性が、大です。特大です。

 ある程度の人数が投票してくれるまで、ひたすら持久戦を行おうと、そう考えているのですよ。

 人気投票が終了し、集計結果が出たらば、もちろん、皆さんに公開します。
 公開なんてしても、恥をかくだけかもしれませんが、公開します。

 と、まあ、こんな感じでやってみるつもりなので、皆さん、その時が来たら、ご近所ご家族お誘い合わせの上、ふるって、ご投票くださいね。
 誰に入れても構いませんので、どうかどうか、清き5票を、お願いいたします。


2007年4月7日(

 無事、大学入学を果たした、今野さんと安田さん。
 今日から彼らも、閉店業務メンバーの、仲間入り。
 私はもう、一人で仕事をせずに済む。ラッキー。ウハウハ。

 ……と、思っていたのですが、当てが外れてしまいました。

 大学の学生証を使っての、面倒な手続き。なんでも、それを済ませないと、夜の10時以降、彼らを働かせることは、できないらしいのです。
 だから、彼らの閉店業務参入は、もうちょっと、先になるみたいなのです。

 残念です。

 もっとも、安田さんのほうは、手続き云々を抜きにしても、閉店業務に加われるかどうか、大変、怪しいもんなんですけどね。

 ええ。どうやら彼、かなり、アレな感じな人みたいなんです。

 今週の月曜日、こんなことがありました。

 閉店業務終了後の更衣室で、渡辺チーフに、「閉店業務のメンバーが足りないから、お前、夏ぐらいまでバイト続けろよ」と、言われてしまった私。「でも、もうちょっとしたら、今野さんと安田さんが入ってくるんだから、問題ないじゃないですか」と、返してみました。
 そしたら渡辺チーフ、いきなり、語勢を強めて、こう言ったのです。

やらせねえよ! 安田なんかに。あんな奴にやらせるわけねえだろ!

 彼のこの反応に、疑問と野次馬根性を湧き上がらせた私。2日後の水曜日、野沢さんに、「安田さんは何か、能力に問題でもあるのか?」と、質問をぶつけてみました。

 野沢さんは、いかにも、「そんな奴の名など聞きたくもない」という態度で、こう、返答してくれました。

「ああ、あれ? ダメだね。全っ然ダメ。何の役にも立たない。だからまあ、なるべく早いうちに、辞めてもらう方向で

 その日の、閉店業務終了後、更衣室内で、桐島さんに尋ねてみました。
 「安田さんは、そんなにダメなのか? 野沢さんは、辞めさせるつもりみたいだけど」と、聞いてみました。

 桐島さんは、申し訳なさそうに苦笑しながら、

はい。……なんか、同じことを何度教えても、覚えないんですよ。なんか、ホントに、どうしようもない感じです。……正直、ホントに、辞めてもらったほうがいいと思います

 と。

 そうそう滅多なことでは、同僚を悪く言ったりなどすることのない、桐島さん。
 安田さん。彼に、ここまで言われてしまうとは……。

 こりゃ、大変怪しいのは、「閉店業務に加われるかどうか」では、なさそうですな。


2007年4月8日(

 今日は日曜日なので、私は昼間出勤。

 午後6時前。お仕事を終え、更衣室で私服に着替えていたら、ちょうどそこに、これからお仕事の、桐島さんがやってきました。

 ちょうどいい機会だと思い、私、彼に、聞いてみました。「今野さんは、まだ閉店業務に加われなそうなの?」と。

 そしたらば、返ってきたのは、予想外の答え。

 今野さん、なんか、閉店業務に携わるの、難しいらしいのです。

 学生証を使っての手続きがどうこう、とか、そういうことではありません。

 彼の、厳しい、親御さん。その親御さんが、彼の深夜勤務を、認めてくれない雰囲気なのだそうです。

 あらら。

 ということは、結局私は土曜日は、最後まで、「たったひとりの戦士」ですか?


2007年4月9日(月)

 実は、昨日、私、背中の筋を痛めてしまったんです。
 冷蔵庫の中で、重い箱を持ち上げた、その瞬間に。

 キツかったっすよ。なにせ、ちょいと背中を動かしただけで、激痛が走るようになってしまったんですから。一瞬、息が止まるぐらいの、そんな激痛が。
 このまま、仕事を続行するべきではない。そんな状態であることは、明らかでした。

 でもまあ、幸い、筋を痛めたのは、あと少しで仕事も終わるという段階。
 背中を痛めたことは誰にも言わずに、そのまま仕事を続け、そのまま終わらせちゃいました。

 その晩は、背中を安静にして、就寝。
 そして迎えた、今日の朝。

 背中の調子、悪化してました。

 ベッドから起き上がるのにも苦戦を強いられるという、ツラい状況に、陥ってしまったのです。

 夕方からバイトがあるというのに、マトモに働くのは、無理っぽい状態。
 それでも朝のうちは、湿布でも貼っておけばそのうち治るだろうと、楽観視していたのですが、昼過ぎになっても、症状はほとんど治まらず。

 仕方がない。奥の手じゃ。
 と、私、佐藤さんに、メールで救援要請を行いました。

 彼女は、私の頼みを、快く承諾。私は安心して、ベッドに横たわり続けることができました。

 それにしても、背中を痛めて動けなくなるとは……。

 若者のつもりでいる私。実はもう、若くはないのかもしれません。

 今年で、23歳。
 馬だったなら、相当な高齢ですからね。


2007年4月10日(火)

 今日は昨日の振り替え日。  背中の調子が、どうにかこうにか良くなってきた私、佐藤さんの代わりに、出勤です。

 春井さんに、会って早々、笑われてしまいました。

「昨日、佐藤さんが言ってたよ。『先輩から、今にも死にそうな感じのメールが来た』って(笑)」

 と、笑われてしまいました。

 どこまで事情を知っているのか分からない彼に、私、解説をおっ始めます。実に言い訳がましく、語り始めます。
 昨日は、ろくに身動きもできないほど、背中が痛かったということ。背中を痛めたのは一昨日だけど、大事には至らんだろうと思い、誰にも報告しなかったこと。
 これらの話を聞かせてあげたら、今度は春井さん、私に、こんなことを言いました。

「ちゃんと言えよ〜。その時は大丈夫だと思っても、今回みたいに、後から悪化することだってあるんだから。それで急に『休みます』なんてことになったら、大勢の人に迷惑がかかっちゃう。同じ業界に就職するんだし、これから先もこういうことがあるかもしれないんだから、注意しないと」

 正論です。まさに、正論。
 私が反論をする余地など、どこにもありません。

 なんだか私、感じてしまいましたよ。

 ああ。やっぱりこの人は、正社員なんだな、と。


2007年4月11日(水)

 インターネットという便利なものを使って、調査してみました。

 その結果、ぼんやりとですが、見えてきました。

 ライダーカードRの、第3記録。
 発売されるのは、おそらく、今年の10月ごろです。

 おいおい。これはまた、ずいぶんと遠い将来の話じゃないですか。

 まいったな、こりゃ。

 第3記録以降の、カード集めストーリー
 それを、5月から9月までの間の、この日記の柱にしようと思っていたのに。


2007年4月12日(木)

 実はこれ、先月にはすでに、私の耳には入っていたことなのですが、春井さん、近いうちに、異動してしまうそうなのです。

 彼の代わりにやってくる人物は、やっぱり、あれです。

 いない、そうです。

 春井さんの行く先は、まだまだ未定。内々にも、決まってはいない様子です。
 なかなか、決まらないみたいです。

 古谷チーフの話によれば、精肉部門の小林トレーナー、頭を悩ませているらしいのです。

「春井を異動させる先が、どこにもないんだよなぁ

 と。

 そんな、どこへ行くのか分からない、宙ぶらりんな春井さん。

 その上司である、古谷チーフ。今日、私に、こんなことを言いました。

「副店長がね、『樫木の代わりのバイトが見つからなかったら、春井をバイトとして使えばいいんじゃないか』って言ってるんだけど……。いい案だと思わない?

 副店長も、古谷チーフも、ずいぶんハードな冗談を言うもんですな。


2007年4月13日(金)

 今日は、忙しい日だったので、私と佐藤さんは、共に出勤。
 作業場で、春井さんも交えての、こんな会話がありました。

 春井さん:「じゃあ佐藤さん、そろそろ、挽き肉を半額にしちゃってください」
 佐藤さん:「はい。了解です」
 春井さん:「ついでに、樫木さんも、半額にしちゃってください
 佐藤さん:「半額にしても、誰も買わないと思いますよ
 私:「いや、そんなことはない。通常のお値段でも、みんな喜んで買うはず
 佐藤さん:「まあ、80円くらいなら、買う人もいるかも。『これは奴隷にちょうどいい』って(笑)」

 バカなことを申すでない、佐藤さん。

 ケタが違うんだよ、ケタが。

 どう考えたって、100円くらいの価値は、あるだろう?


2007年4月14日(

 今日からは、グロサリー部門の今野さんも、閉店業務のメンバーです。

 どういう経緯でかは不明ですが、彼、土曜日だけ限定で、閉店業務に加わってくれることになったのです。

 とってもありがたく、とっても心強いことです。

 今野さんの教育係は、もちろん、私。
 彼に閉店作業の知識を伝授すること。それが、私の、最後の仕事の一つになりそうです。

 閉店直後の10時過ぎ、私のもとに今野さんを連れてきた、野沢さん。
 私に、今野さんのことをよろしく頼んだ後、彼、その今野さんに、優しく、言葉をかけます。

「そんなに複雑な仕事じゃないから、たぶん、すぐに覚えられるから」

 ここまで言ったところで、私を一瞥。そして、吐き捨てるように、続けます。

バカでもできるんだし

 ぐはっ。なんという言い草。
 野沢さんめ、痛いところを突いてきましたな。

 まあ、おかげでその場が和んだのは確かなので、それで良しとしますか。


2007年4月15日(

 昼間に出勤したのですが、忙しかったので、今日の私は夜まで残業。

 午後6時の、夕礼の時間。副店長が、我々アルバイトに、なかなか嬉しい話をしてくれました。

 つい先日、ウチの店の職員が、お客様から絶賛されたのだ、と。
 本社のほうに、「応対してくれた職員の接客態度が、非常に良かった」という内容の、お客様からのお褒めの電話があったのだ、と。
 クレームは、すぐに本社まで上がってくるけれども、お褒めの言葉は、滅多に上がってはこない。だからこれは、とても素晴らしいことなんだ。これからも皆さん、気持ちのいい接客を、心がけてくれ、と。

 夕礼終了後、副店長と私は、少し、言葉を交わします。

 副店長:「どうしてお客様は、こういう時に限って、応対した店員の名前を言ってくれないんだろうなあ」
 私:「名前までは、言ってくれなかったんですか」
 副店長:「そう。『誰々さん』とまでは言ってくれなかったらしい。だから、褒められたのが誰なのかは、分からない。もしかしたら、『樫木さん』かもしれない」
 私:「そうですね(笑) じゃあ、この際だからもう、『褒められたのは俺』っていう結論で良くありませんか?
 副店長:「いや。そういうわけにはいきませんよ(笑)

 ちっ。
 せっかく、他人の手柄を横取りしようとしたのに、失敗してしまったぜ。

 まあしかし、もしホントに横取りできてしまったら、それはそれで非常に困るんですけどね。


2007年4月16日(月)

 そういえば、昨日、こんな会話もありました。
 POS室内での、会話です。

 渡辺チーフ:「そろそろ、ライダーチップス頼むか?
 私:「いえ。お願いしたいのはやまやまなんですが、あれの第3記録が発売されるの、10月になるみたいなんですよ」
 渡辺チーフ:「そっか。そんなに先か。じゃあ、10月になったら、頼みますか」
 私:「それが……。10月だともう俺、この街にいないんですよね」
 渡辺チーフ:「ふざけんなよ。引っ越した先の街から買いに来いよ
 私:「それはさすがに無茶っすよ(笑) その街にある店舗で、買います」
 渡辺チーフ:「そうか……。そうだよな。で、お前、どこに引っ越すの?」
 私:「たぶん最初は、本社のある、ラスボスタウンですね」
 渡辺チーフ:「清水のとこじゃねえかよ!
 私:「はい。まあたぶん、そうなりますね(笑)」
 渡辺チーフ:「………。まあいいや。清水みたいになりたいんだったら、勝手にすればいいよ

 この、渡辺チーフの態度、意地悪っぽく映るかもしれませんが、実際には、そんなことはありません。あくまでも彼、冗談半分で、このような態度を取っているのです。
 自分自身のキャラクターを最大限に活かし、意地悪ネタを、やっているのです。

 かつては、私と仲良く話すことなど、ほとんどなかった渡辺チーフ。
 それが、なぜだかいつの間にか、こうして、自分から親しげに話しかけてくれるように。
 ちょっと嬉しいです。

 しかし、せっかく話しかけてくれても、肝心の会話の内容がこれでは、どうしようもないような気もいたしますがね。


2007年4月17日(火)

 実は、ここ数日の間、あるゲームにハマッていました。
 『信長の野望 天翔記』。その、スーパーファミコン版です。

 本日、ようやくそいつを、クリアすることができました。

 私が選んだシナリオは、1547年。大名は、里見義堯。やっぱり、「リロード禁止」が、マイルール。

 数多くのドラマの果てに、我が里見家が天下統一を達成したのは、1589年。義堯から数えて4代目の当主、義堯の孫・義康の代でした。

 このゲームでは、自勢力を、最大で8つの「軍団」に、分割することができます。
 各軍団は、それぞれに、領地・武将を持ち、別々に、戦略を行います。

 第1軍団の軍団長には、自動的に、大名本人が就任。第2軍団以降の軍団長は、配下武将の中から、自分で選び、任命します。
 普通、この、軍団長の役職に据えるのは、家臣団の中でも、身分・実力、共に申し分ない者。私ももちろん、そうしました。
 なんたって、自勢力の大幹部。軍団長ですからねえ。

 我が里見家の、天下統一時の、その、軍団長たちの顔ぶれなのです。
 私がここで、ひけらかしたいのは。

 まず、最前線であった九州地方を担当する、第1軍団長、大名・里見義康
 それから、東北地方を担当する第2軍団長に、和田昭為
 関東地方を担当する第3軍団長には、小田氏治
 北陸地方を支配下に置く、第4軍団長・大関高増
 東海地方を治めるは、第5軍団長・結城晴朝
 近畿地方の第6軍団長に、千葉邦胤
 中国地方の第7軍団長に、正木頼忠
 そして、四国地方を統治する第8軍団長には、赤松晴政

 どうです? このメンツ。
 これが、我が里見家の、大名と、大宿老たちですよ。

 まさに、綺羅星の如き英雄たち。メジャー度ならば誰にも負けない、戦国時代のスーパースターズ。
 日本人として真っ当に生きてきた方であれば、こんな連中の名前は、一人も知らないでしょう。


2007年4月18日(水)

 精肉作業場内で、佐藤さんと、仕事絡みの話をしていたら、そこへ、古谷チーフが登場。
 私たちのほうに向かって、

そこの変態の人〜

 と、声をかけてきました。

 思わず私、即座に、

はい

 と、返事をしてしまいましたよ。

 いやあ。ずいぶん、ウケました。
 チーフと佐藤さんから、笑いを取ることができました。

 ウケを狙ってやったわけでは、全然なかったんですけどね。

 それはそうと、古谷チーフは実際のところ、誰に声をかけていたのでしょうか?

 いうまでもありません。他でもありません。

 私です。はい。

 ところで今日、チーフが、言っていましたよ。
 精肉アルバイトの新人が、私の後継者が、もうすぐ、やってくるかもしれないのだそうです。

 なんでも、アルバイトの募集を知った方からの、応募の電話があったらしいのです。
 今度の土曜日だかに、副店長が、その人と面接をするそうです。

 実は、数日前にも、アルバイト希望者がやってきて、副店長が面接をしたそうなのですが、そっちの人は残念ながら、不採用になってしまったとのこと。
 今度の人には、是非、良い結果を出してもらいたいものです。

 ちなみに、もし採用されたらば、その人が配属されるのは、確実に、精肉部門。青果でも鮮魚でもなく、確実に、精肉部門。

 なぜかというとですね、今、ウチの店でバイトの募集をしてるの、精肉部門だけなのです。
 青果と鮮魚は、募集していないのです。

 これももしや、人員削減作戦の一環なのでしょうか。青果部門と鮮魚部門は、「これからは、アルバイトは1人でいい」ということに、されてしまったのだそうです。

 あれまあ。それは大変だ。

 でもまあ、ウチの部門にとっては、そっちのほうがありがたいのです。
 だって、青果と鮮魚も募集してたら、精肉部門に新人が入るのは、果てしなく先のことになってしまいそうですからねえ。


2007年4月19日(木)

 今日からは私、木曜日は、一人で閉店業務を行わなければなりません。
 学業との兼ね合いから、桐島さんの出勤曜日が変更。木曜日が、お休みになってしまったのです。これからは、木曜日の代わりに、火曜日に出勤することになってしまったのです。

 まいったぜ。しんどいぜ。
 でも、それも、あと少しの辛抱。頑張ろう。

 閉店業務終了後、「もうすぐ、肉屋に新しいバイトが来るかもしれない」という話を、渡辺チーフにしてあげたのですが、彼、すでにその話、知っていました。
 その方からの応募の電話を取ったの、渡辺チーフだったみたいなんです。

 渡辺チーフ、言っていましたよ。

 たぶん、雇われないだろう、と。

 自分の一存で切り捨てることはできないので、一応、応募の電話があったことは、副店長には伝えたけれども、まず間違いなく、あれは不採用だろう、と。

 そう言った後で渡辺チーフ、その方との電話でのやり取りを、克明に、再現してくれました。

 それは、以下のような内容でした。

 バイト希望の方:「精肉。アルバイト。精肉。アルバイト
 渡辺チーフ:「え? あ? 何?」
 バイト希望の方:「精肉。アルバイト
 渡辺チーフ:「は? 何? アルバイトの応募?」
 バイト希望の方:「そう。精肉。アルバイト

 うわー。
 これは、確かに。確かに、厳しいだろうなあ。


2007年4月20日(金)

 朝起きたら、またしても、背中の筋が、痛くなっていました。

 だからとにかく、安静に。安静に。
 幸い、今日はバイトもお休み。ほとんど一日中、ベッドに横たわっていました。

 だけどそれでは、あまりにも退屈。
 夜になってから、少し、活動を始めました。
 朝より状態は悪化しているというのに、無理して、動き回りました。

 そうしたら、驚くべきことが。

 なんと、背中の痛みが、嘘のように引いていったのです。

 ということは、今日の痛みの原因は、もしや……。

 単なる運動不足!?


2007年4月21日(

 トイレに行く途中。バックルームで出会った、後藤田チーフ。
 彼、私に、愚痴をこぼしてきました。

 精肉の佐藤さんの従姉妹として知られる、パン屋の松野さん。

 彼女、役立たずであるらしいのです。

 かつてパン屋にいた渡辺さんと、ほとんど、大差ない感じだそうです。

 うむむ。何というか、平林副店長が雇うバイトには、ろくな人がいないなあ。
 彼が採用したバイトの中で、周囲の評価がそう低くないのは、今野さんくらいではなかろうか。

 もしかすると、副店長にはあんまり、人を見る目がないのかもしれません。
 彼が猛プッシュしていた渡辺さんなんて、それはそれは、無残な仕事ぶりを晒していたようですし。

 さて。時は流れ、閉店業務を終えた私、休憩室にいる、副店長のもとへと向かいました。
 そこで彼に、聞いてみました。
 本日行われたはずの、アルバイト希望者との面接。その結果は、どうなったのか、と。

 副店長は、答えてくれました。

 採用で、ほぼ、決まりだそうです。

 電話での様子はかなりヒドかったらしいが、実際会ってみたら、ちゃんとした人だった。
 声が小さいのが弱点だが、とてもしっかりした、真面目な人だった。

 こんな感じで副店長、その人を、大絶賛していました。

 と、そこへ、私たちの会話を聞きつけたのか、今野さんが登場。
 私と副店長に、あることを明かしてくれます。

 なんと、今日、面接にやってきた方、今野さんの友達なのだそうです。
 ウチのスーパーのバイトに応募することは、今野さんが、勧めたのだそうです。

 ふむふむ。そうであったか。

 しばらく、副店長と話した後、私と今野さんは、更衣室へ。
 そこで、着替えながら、おしゃべりをします。

 今野さん、今日、面接に来た人のことを、話してくれました。
 「声が小さくて、ちょっと聞き取りにくいところがありますが、彼は、ものすごく真面目な人です。どうかよろしくお願いします」と、友達のことを、私にお願いしてきました。

 もちろん私、「任しとけ!」とばかりに、引き受けましたよ。

 いやはや、良かったです。
 精肉のアルバイトの、新人が見つかって。しっかりした人みたいですしね。

 しかし、不安は、残ります。

 確かに、副店長は、その人のことを、高く評価しています。
 雇う前から、その人のことを、とても気に入っている様子です。

 それが余計に、私の不安を煽るのです。


2007年4月22日(

 仕事から解放され、私服への着替えも終えた、夕方。
 私は、休憩室にて、副店長やパートさんたちと、談笑。

 何十分もそこに居座り、話し続けていたら、とうとう、副店長から、ツッコミをもらってしまいました。

 副店長:「お前、いつまでここに残ってるんだよ(笑) いい加減、帰れよ(笑)
 私:「そろそろ帰りますよ。その前に、売り場で買い物しますけど。1時間くらい
 副店長:「そうだよな。そういえばお前、帰りに買い物する時、いつも、1時間くらい時間をかけてるよな。なんで?」
 私:「それは、あれですよ。いつも大体、本当に買いたいものは、1つしかないんですよ。だから本当は、買い物カゴなんかいらないんですけど、やっぱり、カゴを持ってないと買い物の雰囲気が出ないから、カゴを持っちゃうわけじゃないですか。で、カゴを持ったら持ったで、今度は、『2つ以上は品物を入れないと、カゴの意味がない』って気がしてきちゃって、『何かもう1つ、買うものはないかな〜』って、1時間ぐらい、迷って探し歩いちゃう、と、こういうわけなんですよ」
 副店長:「すごいね。悩める青春だね
 私:「こういうことって、よく、ありません?」
 副店長:「いや。ない

 ひゅるるー。

 冷たいなあ。世間の風は。


2007年4月23日(月)

 いつものように業務終了。それから、店長・副店長・渡辺チーフが雑談している、POS室内へと入りました。

 私そこで、副店長に、尋ねてみました。

 例の、今野さんの友達。その人が来てくれることは、もう、正式に確定したのか、と。

 副店長からの答えは、いわゆるその、イエスでした。イエスイエス。オー、イエス。

 今度の水曜日に、初出勤をするそうです。

 次に口を開いたのは、店長。
 私を、その新人さんの、教育係に任命してくれました。

 やりました。嬉しいです。

 まあ、たとえ命じられずとも、教育係の仕事は、拙者がやるつもりだったんですけどね。

 私、先輩面して、人にものを教えたりするの、大好きなもんで。

 その後、店長から、興味深いお話が。

 なんでも、この、私がバイトしている会社には、「週末アルバイト」という身分が、あるのだそうです。
 それは文字通り、週末の2日間程度に限って働く、アルバイトのこと。
 基本的には、そんな身分の人、どこの店舗を探してもいないそうですし、募集もしていないそうなのですが、何か、特殊な事情がある場合(例えば、「店が忙しすぎる。人が足りない」というような事態が発生した場合など)には、そういう枠で人を雇うことも、できないことはないのだそうです。

 店長は、私に、「なってみないか」というのです。

 その、「週末アルバイト」に。

 5月からの、ヒマな5ヶ月間。当初は私、ただボーッと過ごすつもりでいました。
 しかし、最近では、違う考えを持っています。「バイトで貯めたお金を崩して、日本各地の史跡を巡ってみようかな〜」などと、思っているのです。そのことは、店長・副店長を初めとする、多くの社員さんたちにも、すでに伝えてあります。

 とはいえ私、そんなに、ずっと旅し続けるわけではありません。そんなに長期間の旅行に、出るつもりもありません。
 おそらく大半の日は、家にいることになるでしょう。

 だから、週末アルバイトとしてなら、十分に、働くことができるはずです。

 また、バイトを辞めずに働き続けることには、意義もあります。

 旅行によって、減っていく一方の、貯金。そのために、暗く閉ざされていく心。
 それに、救いの水を与えることが、できるのです。

 そう考えるとこれは、とってもオイシイ話です。ありがたい話です。

 私の心が、週末アルバイトに傾いたその時、今度は、副店長&渡辺チーフが、追い討ちをかけてきました。

 彼ら、私に、「5ヶ月も働かずにいたら、間違いなく、グータラ根性が染みつき、社会復帰が困難になる。末は、ニートになるに違いない」などと、のたまうのです。

 前々から案じていた点を、見事に、突いてきました。

 これにより、私の気持ちは、さらに、週末アルバイトの方向へ傾斜。
 とうとう店長に、
「前向きに検討させていただきます。たぶん、お願いすると思います」
 と、言ってしまいました。

 これはこれは。まんまと、彼らの術中にハマッてしまいましたかな。

 彼らとしても、私には、辞めてもらいたくないはずなのです。

 それはそうでしょう。

 私は、割と長いことここで働いている、アルバイト。
 まさに、低賃金で気軽にコキ使える、店にとって都合のいい存在ですからね。


2007年4月24日(火)

 朝、佐藤さんからメールがやってきました。
 風邪をひいてしまったようなので、今日、自分の代わりに、出勤してほしい。そんな内容の、お願いメールでした。

 私は彼女に、OKの返事を出し、夕方6時に、勤務開始。

 いやあ。少し、ハッピーな気分です。
 
 週末アルバイトの話が来たとはいえ、本当にその道に進めるかどうかは、まだ未知数。今月一杯でこの店を去ることになる可能性も、依然として高いのです、私。
 もしそうなるとしたら、名残惜しい。名残惜しい。
 だから今は、一日でも多く、働きたい気分なんです。

 出勤からほどない作業場で、ありがたい出来事が。

 昨日の店長に続いて、古谷チーフまでもが、私を、教育係に指名してくれたのです。

 明日、新人のバイト君が来る。君を教育係に任命するから、しっかり頼んだよ。
 明日は私はお休み。春井さんが出勤の日。新人君にバカがうつらないように、ちゃんと見張っておいてね。

 などというようなことを、言われました。

 うむむ。春井さんってば、相変わらずの扱いですね。

 閉店作業が終わった後、私は、店長のもとへ。
 週末アルバイトの件の、詳細を聞きに行ったのです。
 特に問題なければ、その場で、その枠での採用を、正式にお願いしてしまおうとも、思っていました。

 ところが、話はそんなに、スムーズには進みません。

 店長、「この店の、パート・バイト人事の責任者は、副店長。詳しいことは、彼に聞いてくれ」と、いうのです。

 むむむむむ。これは仕方がない。
 この場はひとまず撤退して、またいずれ、再起を図るとしよう。


2007年4月25日(水)

 お昼ごろ、佐藤さんからメールが。

 「風邪が治らないから、今日も、出勤は無理です」との、ことでした。

 うぎゃあ。仕方がないこととはいえ、こりゃあ、苦戦は必至だぜよ。
 今日は、品出しなどの、売り場での作業全般を、彼女に任せようと思っていたのに。

 これはヤバいと思った私、自主的に、いつもより早い、午後5時に出勤します。店には一言も告げずに。

 更衣室に入ったら、ちょうど、いましたよ。ユニフォームに、着替えていましたよ。
 本日から、精肉部門のアルバイトとして働く、高橋さん(仮名、大学1年・男)が。

 今日が初日の彼、いろいろと、店側と手続きをしなければならないがために、こんなに早く、出勤してきたのでしょう。

 見れば高橋さん、エプロンの装着に、苦戦している様子。

 早くも、出番みたいです。

 私は彼に、エプロンの装着手順を、丁寧に教えます。自ら、手本を示し、教えます。

 そういえば、今野さんが初出勤の時も、私は彼に、これと全く同じことをしたなあ。

 おや。聞こえてきました。
 ピューピュー吹いていますねえ。

 先輩風が。

 着替え終わったら、二人で更衣室を出て、副店長のもとへ。
 これから緒手続きをせねばならない高橋さんを、副店長に託した後、私は、精肉作業場へと向かいます。
 さあ、急がねば。

 作業場の中には、おなじみの、春井さんが。
 彼、私を不思議そうに見つめ、「なんでこんなに早く来たの?」というようなことを、聞いてきます。

 どうも、店に、なんにも連絡を入れなかった者が、私の他にもう一人、いるみたいなんですよ。

 ええ。
 佐藤さんです。

 彼女、本日欠勤するということを、私にだけ連絡し、店には、一切連絡していなかったのです。

 おお。なんという、おバカな失態。

 てっきり、事態を重く見た春井さんが、すでに、加工肉の品出し等に取りかかってくれているとばかり思っていたのに。
 彼は、そんなことは、なんにもしていませんでした。
 いつも通り、のんびりと、仕事をしていました。

 これは計算が狂った。ますます、ヤバいぞ。
 どうしてくれよう? 佐藤さん。

 ……まあ、この件に関しては、彼女だけでなく、私も、悪いんですけどね。
 私が、勝手に動いたりせず、事前に、店に、春井さんに、早期出勤すべきかどうかを聞いてさえいれば、こんなことにはならなかったんですから。

 高橋さんがやってくるまでは、私、作業場の掃除には手をつけたくありません。今日の掃除は、彼に、一から教えつつ、進めていきたいからです。
 ということで私、とりあえず、生肉の値引き作業に向かいます。

 品出しのほうに関しては、春井さんが、「任せてくれ」と、言ってくれたので、お言葉に甘えさせてもらいます。
 さんきゅうです、春井さん。

 さて。6時前、ようやく、精肉作業場に姿を現しました、高橋さん。
 待ってました。私はこの時を、楽しみにしていたのです。

 早速私は、彼への、仕事知識伝授を開始します。
 とにかくひたすら、優しく、親切に、教えます。

 これでも私、なかなか、年下や後輩からは、慕われるタイプなんですよ。
 常にこうやって、優しく接するのでね。

 伊達に、好きな戦国武将の筆頭に、丹羽長秀を挙げちゃあいないっていうことです。

 でも、私が果たして、本当に、優しい人格を持った善人なのかというと、それはかなり、疑問です。
 私は、他人から、「優しい人だ」と思われることが、嬉しいのです。慕われたり感謝されたり、喜んでもらえたりすることが、嬉しいのです。
 だから、他者に対しては、意図的に、優しく接するようにしているのです。自分の気持ちを、満足させるために。

 こういうのって、最もタチの悪いタイプの人間かもしれませんね。

 仕事を教えるのと並行して、私は、高橋さんの心をほぐす作業も、行います。

「ここの肉屋には、怖い人とかはいないから、安心してね」
「ちょっとでも分からないことがあったら、何でも、俺に聞いてください。一度聞いたことでも、忘れちゃったら、遠慮なく聞いてください。何度聞かれても怒ったりはしないんで」
「最初は、いっぺんにいろんなこと教えられるから、『こんなの覚え切れねーよ』って思うだろうけど、それが当たり前だから。たぶん、明日にはもう、今日教わったことの大半は、忘れちゃってるよ(笑) すぐに覚えられるわけなんかないんだから、プレッシャーなんか感じずに、少しずつ少しずつ、知識を自分のものにしていけばいいからさ」

 などと、言いまくります。

 そういえば、佐藤さんが初出勤の時も、私は彼女に、これらと全く同じことを言ったなあ。

 おや。聞こえてきました。
 ピューピュー吹いていますねえ。

 先輩風が。

 高橋さん、前評判に違わず、非常に、真面目な人物です。たかがバイトと侮らず、真剣に、作業に臨んでくれています。

 ただ、気になるのは、ほとんど、
「はい」
「すいません」
「ありがとうございました」
 の、3つしか、言葉を発さないということ。

 おかげで、喋りまくる私の声が、宙に浮きまくっているのです。

 でもまあ、控えめな態度であるということは、決して、悪いことではありません。

 少なくとも、出勤初日から、私の背中に値引きシールを貼ったり、私の足を蹴ったりしてきた佐藤さんよりは、よっぽどマシです。

 高橋さんは、作業場のお掃除。私は、彼の指導・サポートをしつつ、焼き鳥をパック詰めしたり、挽き肉を値引きしたり。
 そうして迎えた、9時半。ここで、今日の高橋さんの勤務時間は、終了。中途半端なところまでしか教えられませんでしたが、今日は、終了。残りの作業は、私が、引き受けます。
 そのころにはもう、春井さんの品出し作業も、完了していました。ありがたき幸せです、春井さん。

 ようやく肉屋の仕事も片づき、閉店業務も片づいた、10時半過ぎ、私は休憩室の、副店長のもとへ。
 例の件。週末アルバイトの件を、お願いしに行ったのですよ。今度こそは、と。

 再起のチャンスは、ずいぶんと早く、巡ってきましたなあ。むへへへへ。

 しかしながら副店長。なんと、私に、こんなことを言いやがりました。

 今は、どの部門にも欠員なんてないから、お前が働くスペースは、どこにもない。

 と、こんなようなことを。

 彼いわく、店長は、この店の、パート・バイト人事には、基本的に携わっていないから、よく状況が分かっていないのだそうです。
 確かに、週末アルバイトというシステムはあるそうなのですが、実際のところ、人が足りているこの店には、そんなものはいらないのだそうです。
 店長の言ったことを、真に受けてはいけないのだそうです。

 そ、そんなー。

 じゃあ一体、一昨日、私の心に追い討ちをかけてきたのは、何だったのさー、副店長。

 ……あ。

 そっか。分かったぞ。

 あれは単純に、私に、ニートという言葉をぶつけて、楽しんでいただけだったのか。


2007年4月26日(木)

 高橋さん、出勤2日目。私が彼を指導するのも、2日目。本日は二人とも、通常通りの、午後6時出勤です。

 夕礼の時間、副店長の指示を受け、高橋さんは、バイトの皆さんに、自己紹介をします。
 実は彼、昨日もこの時間に、自己紹介をさせられているのですが、副店長、昨日の夕礼には参加していないので、そのことを、知らないのです。だから副店長、高橋さんに、2度目となる自己紹介を、命じてしまったのです。
 まあ、2回自己紹介をしても、無駄にはならないので、いいんですけどね。バイトの方たちの中には、昨日はいなかった方もいるわけですし。

 高橋さんは、口を開きます。
 彼、たぶん、大勢の前で喋るのは、苦手なのでしょう。昨日もそうだったのですが、とっても緊張している様子です。

 蚊の鳴くような小さな声で、
「精肉部門の、高橋です……。よろしくお願いします……」

 と、言い終えたところで、即座に副店長から、ダメ出し。

「声小せえよ。腹から声出せ、腹から」
 と、吐き捨てるように、言われてしまいました。

 これで高橋さんは、完全に、ビビッてしまいます。

 すぐにリトライ。今度は声を振り絞って、頑張ってみるものの、体は小刻みに震え、発音もままならない感じ。

「精肉部門の、たっ、たぁがあっしえす。……っっぇっぷ。よぉしくお願いします
 
 と、こんな感じ。

 さらにもう一回やり直しをさせられるという悲劇こそ、ありませんでしたが、なんだか見ていて、かわいそうになってきてしまいました。

 副店長。高橋さんがこういうタイプの人だってことは、雇う前から、おおよそ予想がついていたはずなんですから、あんまり、威圧しないであげてくださいな。

 さてさて。肉屋のお仕事です。
 高橋さんには、昨日と同じく、作業場の掃除を、やってもらいます。作業場清掃は、肉屋のバイトの仕事の、基本中の基本ですからね。
 私のほうはというと、今日もまた、高橋さんの指導。そしてその合間を縫っての、焼き鳥のパック詰めや、生肉の値引きです。

 高橋さん、なかなか、もの覚えはいい感じです。
 昨日私が教えたこと、かなりの割合で、覚えていてくれました。

 そうだ。もの覚えがいいといえば、思い出すのは、佐藤さんです。

 このバイトを始めた時の、彼女の年齢は、若干15歳。その若さのせいもあってか、当初の彼女は、大変、仕事の飲み込みが早かったのです。
 覚えるのに手間がかかる、ミートスライサーの、分解・組み立ての手順。それを、出勤2日目の時点で、ほぼマスターしていたほどでした。
 これには、当時私の相棒だったタッキーも、舌を巻いていましたよ。

 今思い返せば、そのころが、彼女の評価の、ピークでしたね。


2007年4月27日(金)

 今日の日は私、お休み。
 佐藤さんの風邪も、無事に治癒。安心して、休むことができました。

 さてさて。ところで、私とはもうすぐお別れの、古谷チーフ。
 私、彼に、お金を請求することができるのです。

 実は私、彼と、売買契約を結んでいるのです。

 あの有名な、ライダーチップス。
 私が彼に、あれを差し上げる代わりに、彼が私に、お金を支払う。かつて、そういう約束を、交わしたのです。交わしたのですが、まだ私、代金のほうを、もらっていないのです。チップスのほうは、とっくに、渡し終えてるんですけどね。

 ちなみにもちろん、カードは、渡しちゃいませんよ。カードは全部、私が回収。残ったポテチだけを、あげたのです。

 この取引を持ちかけてきたのは、古谷チーフのほうでした。

 ライダーカード収集中の、ある日。私、「ライダーチップスは1袋80円もする。高すぎる」と、彼に愚痴をこぼしたのです。
 そうしたらばチーフ、申し出てくれたのです。
 「良かったら、そのポテチ、1袋30円で、買い取ってあげるよ」と。

 私はもちろん、ノリノリで、この話に乗りました。

 それまでは私、後藤田チーフ・村井(兄)さんと同じように、いらないポテチは、タダで、古谷チーフのロッカーの中に、放り込んでいました。
 それを古谷チーフ、金を出して、買ってくれるというのです。それも、私のものだけ。私とだけ、この契約を結んでくれるというのです。後藤田チーフと村井(兄)さんには、内緒という約束で。

 さすがは古谷チーフ。身も心も、太っ腹。

 それからというもの、私、ポテチの数を、ずっと、カウントし続けました。契約の成立以降にロッカーの中に放り込んだ、ポテチの数を。
 最後にこの数を、古谷チーフに申告。そうしてそれから、代金をいただく。そういう約束に、なっていたのです。

 私がカウントしたライダーチップスの数は、最終的に、ちょうど30袋になりました。
 お値段にして、900円。
 古谷チーフから、900円、いただくことができるのです。

 けれどもずるずる、代金を要求しないまま、二人の間でそのことが話題に上ることもないまま、時は流れ、気づけばもう、別れのシーズン。
 さあ、早く。今こそ、金を要求せねば!

 ……と、そう、思ったりもしたのですが、やっぱり、やめました。
 この件に関しては、古谷チーフには、何も、一言も、言わないことに決めました。

 私、彼には、さんざん、お世話になってきたのです。
 1000円以上もする弁当を、奢ってもらったこともありました。

 その彼に、別れ際に、「ポテチ代900円よこせ」なんて言うことは、できません。
 そんなことしたら、あまりにも、みっともなさすぎです。

 それに、あれです。副店長です。

 平林副店長、私や後藤田チーフや村井さんが、古谷チーフのロッカーにポテチを入れまくっていることを、快く思っていなかったのです。
 古谷チーフの健康のことを考えれば、ポテチなんぞ食わせるべきではない。そう、強く認識していたためです。
 我々がロッカーにポテチを放り込んでいる現場を目撃した際には、そのたびに、怒りを口に出していました。

 そんな、副店長に、です。
 そんな副店長に、もし、「樫木は、古谷チーフにポテチを食わせるだけでは飽き足らず、彼から金まで取っていた」なんてことが露見したら……。

 そう考えたらもう、チキン野郎の私は、金の亡者にはなれなくなってしまいますわよ。


2007年4月28日(

 高橋さんは、今日が出勤3日目。

 毎日の、作業場の床清掃に使う、「ポリッシャー」という機械。
 本日、そいつを彼に、初めて本格的に、使わせてみました。

 彼、全然、使いこなせちゃあいませんでした。機械を、大暴走させてしまっていました。

 でもこれ、決して、彼がダメダメであるということを意味するわけじゃあ、ないんです。
 この、ポリッシャーというやつは、かなりクセのある機械。始めのうちは誰でも、こんなもんなのです。今では、手足のようにこいつを動かせる私も、かつては、こんなもんでした。
 何度も何度も使っていくうちに、自然と、マトモに動かせるようになっていくのです。そういうもんなのです。

 ポリッシャーの扱いに、悪戦苦闘する、高橋さん。その姿に私、ちょっと、しんみりしてしまいました。
 なんだか、ここで働き始めたばかりのころの、自分を思い出してしまって。

 彼には、励ましの言葉を、かけておきましたよ。
「今は全然動かせないだろうけど、最初はみんな、そんな感じだからさ。俺なんかたぶん、もっとヒドかったよ(笑) 今は、『こんなのできるわけがねえ!』って思っちゃうだろうけど、そのうち、嘘みたいにできるようになるから。思い悩む必要は、全然ないからさ」
 と、例によって、善人っぽく。

 私と高橋さん、一緒に仕事をするのは、今日が最後になります。

 明日は、私がお休み。明後日は、高橋さんがお休みなのです。

 本当ならば、明日も明後日も、私・佐藤さん・高橋さんの3人ともが、出勤するはずの日。
 だけれども、人件費の関係だかなんだかで、この2日間は、2人しか、出撃させられないらしいのです。一昨日、古谷チーフが、そう言っていました。

 明日は本来ならば、店頭販売があるはずの日なのですが、今月は、やらないそうです。
 ゴールデンウィーク中だからか、いつもとは、違うみたいなのです。

 私が出勤できる日は、今日を除けば、あと1日だけ。店頭販売も、なし。
 なんとも、寂しくて仕方のない話です。

 9時台後半。高橋さんが去る直前、私は彼に、お別れの言葉を。
 「俺と一緒に仕事をするのは今日が最後になるから、今後は、分からないことが出てきたら、誰か他の人にしっかりと尋ねて、解決してください。それでは、これからも、頑張ってください」みたいな、ありきたりなことを言いました。

 高橋さんは、
「はい。分かりました。ありがとうございました!」
 と、元気良く、返事をしてくれました。

 肉屋の仕事が終わったら、閉店業務。今野さんと共にこれをやるのもまた、今日が、最後です。

 業務完了後の更衣室で、彼にも私、別れの挨拶。
 高橋さんに言った言葉と、似たようなことを言い、それから、ちょっとしたものを、プレゼント。

 閉店業務の業務内容の一つである、野菜・果物の収納作業。
 これ、覚えるのが、大変なのです。沢山ある野菜・果物のうち、どれが、冷蔵庫にしまうべきもので、どれが、そうでないものなのか、全て、暗記しなければならないので。
 今野さんも、なかなか覚えられず、苦戦している様子でした。

 そこで私、彼に、メモを、プレゼントしてあげたのです。
 今日の出勤前に書いた、メモ。数ある野菜・果物のうち、しまうべきものを書き出した、メモを。

 今野さん、大喜びし、大感謝していました。
 私としても、嬉しい限りです。

 私がこの店を去る準備、着々と進んでおります。

 立つ鳥、跡を濁さず。

 そんな感じで、行きたいものですな。行けたらいいですな。

 まあ、そう、綺麗にはいかないかもしれませんが……。

 立つ鳥、跡はグチャグチャ。ほとんど置きグソ。

 なんてことになるのだけは、避けたいものです。


2007年4月29日(

 昼間。自分のバイト先のスーパーに、買い物に行きました。
 別に、何か欲しいものがあったというわけでも、ないんですけどね。

 買い物カゴを持ったまま、パンコーナーで、後藤田チーフと立ち話。

 するとそこへ、副店長が登場。
 私と挨拶を交わすなり、
「そうだ樫木。ちょうどいいところに来た。ちょっと話があるんだけど」
 と、笑顔でその場で、語り出します。

 グロサリー部門に、1名、欠員が出ることになった。渡辺チーフが、是非、その穴埋め用員として、お前が欲しいと言っている。

 そんなような、話でした。

 なぜ急に、欠員が出ることになったのかというと、それは、グロサリーのアルバイトの安田さんが、クビになることが、正式に決まったから。
 安田さん、あまりの無能ぶりに、ついに、渡辺チーフから、見切りをつけられてしまったらしいのです。

 あれまあ。
 私もまさか、本当にクビになるとは、思っていなかっただよ。

 実際に、安田さんが店からいなくなるのは、まだ先の話。6月の15日ごろのことになるそうです。
 なんか、契約の関係だかなんだかで、それまでは、クビを飛ばすことが、できないそうなのです。
 であるからして、グロサリーに私が必要になってくるのは、彼が店を辞める少し前。6月の前半ぐらいからになるのだそうです。

 副店長が示してくれた、私の、これからもこの店で働く場合の青写真は、こんな感じです。

 前々からの予定通り、4月一杯で、肉屋のバイトからは引退。けれども退職はせず、6月初旬ごろまで、長期休暇。それから、グロサリー部門に移籍。「週末アルバイト」として、8月一杯くらいまで働く。
 移籍後の出勤日は、原則的には週2日。それ以外にも、店が忙しい日などは、出勤することになるかもしれない。なお、旅行などに行くために、仕事を休みたい場合は、事前に申請すれば、100%、お休みを取ることができる。

 と、まあ、こんな感じ。

 異存を差し挟む余地など、全くなし。理想的というより他ありません。
 その場で私、この話、ありがたく承諾させていただきました。

 週5日出勤の安田さんの代わりに、週2日、私を働かせる。

 そんなことをするぐらいなら、週5日契約で新人を雇ったほうが、店にとっては、ずっとお得なはずです。
 経験者ならまだしも、私は、グロサリーに関しては、ほとんどド素人なんですから。それに、せっかく仕事を教え込んでも、夏が終わるころにはもう、いなくなってしまうわけですしね。

 それなのに、わざわざ、私を拾ってくださる。
 副店長と渡辺チーフの温情には、頭が上がりません。

 お二方。
 本当に本当に、ありがたき幸せです。

 おかげさまで、なんとか私、ニートの海に沈んでいかずに、済みそうでござる。


2007年4月30日(

 とうとう、この日がやってきてしまいました。

 今日は、私がお肉屋さんとして働く、最後の日。

 有終の美を、飾らねばなりません。

 棚卸し作業の、その途中。用事があって作業場に戻ったら、ちょうど佐藤さんが、「三歩進んで二歩下がる」という感じで、焼き鳥パック詰め作業を行っているところでした。

 ここのところ、割と調子の良かったオートパッカー。
 久々に、マトモに動かないようになってしまったみたいなのです。時々、心を閉ざすようになってしまったみたいなのです。

 そのために佐藤さん、パック詰め作業に、だいぶ時間を取られてしまっているのです。

 そんな、なかなか思うように仕事を進められない彼女に、私、去年の4月15日の日記に書いた、あの出来事のことを話し、「『カラテキックを見せてみろ』って言えば、きっと動いてくれるよ」と、実に的確なアドバイスをしてあげました。

 そしたら彼女は、言いました。「お約束」という感じで。

先輩って、まさに、変態って呼ぶにふさわしい人ですよね

 続けざまに、もうひと押し。彼女のすぐそばにいた春井さんが、彼女を慰めるかのように

今日一日だけ、我慢して。今日で、この人いなくなるから

 うむうむ。
 これぞまさしく、有終の美じゃあ。

 さあて。精肉部門の皆さんには、お礼の言葉を述べなければなりません。

 古谷チーフが、今日の仕事を終えて帰る直前には、古谷チーフに。
 春井さんが帰る直前には、春井さんに。
 佐藤さんが帰る直前には、佐藤さんに。
「今まで長いこと、お世話になりました。いろいろと、ありがとうございました」
 と、丁寧に、挨拶しておきました。

 全員に対して、ほとんど全く、おんなじことを言いました。

 この芸のなさが、私という人間の、真骨頂です。

 そうそう。佐藤さんには、お礼を言うついでに、秘伝の書を渡しておきました。
 私が使っていた、メモ。精肉売り場に並んでいる数ある加工肉たちのうち、主だった商品たちの、最寄りの賞味期限が記されている、メモです。
 日付チェックをする際に、とっても役に立つ一品。私直筆の、貴重な一品です。

 後ろ髪を引かれる思いで、肉屋の仕事に終止符を打ち、さらには閉店業務を終わらせ、私服に着替えた後。最後の最後には、店長のもとへ。

 このお方への挨拶は、欠かすことができませんからね。

 「1ヶ月ほどお休みをいただいた後、6月から、グロサリー部門で働くことになった」ということを報告。
 それから、
「今まで、いろいろとお世話になりました。6月には戻ってきますので、その時からはまた、よろしくお願いします。しばらく店からはいなくなりますけど、ロッカーを片づけちゃったりしないように、お願いしますね(笑)
 と、締めくくっておきました。

 そうして私、店を、立ち去りました。

 これにて、私のお肉屋さんストーリーは、おしまい。
 この場を借りて、肉屋の仲間たちに、もう一度、お礼を言っておきましょう。
 皆さん、ありがとうございました!

 さてさて。
 明日からは1ヶ月以上の、大休暇。ウハウハです。

 堕落の日々が、極楽のごとく、待ち受けていることでしょう。



戻る