2007年6月の日記


2007年6月1日(金)

 今日も、午後1時半から5時にかけて、働きました。
 昨日、渡辺チーフから、頼まれてしまったためです。

 先週と、おんなじですな。

 なんか、この、例外のはずの金曜出勤が、今後は、原則になってしまうような、そんな、嫌な予感がします。

 とはいえまあ、一方では私、「旅行に行く際には、好きなだけ休みをもらって良い」という、ずいぶんな厚遇をされちゃっているわけですから、文句をいえた立場じゃあ、ありませんね。

 そういえば、昨日も、やってしまったんですよ。お休みの申請を。
 渡辺チーフから特別出勤を頼まれた直後。ここぞとばかりに、「今度、また旅に出るから、6月7日の木曜日、お休みをください」と、お願いをし返して差し上げちゃったんです。

 相変わらず、気が小さいねえ、キミぃ。


2007年6月2日(

 投票、投票。
 例の、リーダー決定選挙。桐島さんに、清き一票を投じておきました。少し悩みましたが、結局彼に、一票を投じました。
 アルバイトの中では、彼が一番、無難だろうと思ったもので。

 別に、バイトの誰かに入れなきゃならないわけではなかったんですが、そこはほら、私自身が、アルバイトですから。なんとなく、同じアルバイトの中から、選ぶことにしたのです。

 これがもし、村井(弟)さん健在のころであったなら、私は迷うことなく、彼に一票を捧げたことでしょう。
 村井(弟)さんの、売り場での声出し。その、声量の大きさと元気の良さは、全職員の中でも、群を抜いていましたからね。
 バイトのリーダーは、彼しかいない。まさに、そんな感じだったんですよ。

 ……いや。しかし。ちょっと待てよ。

 確かに村井(弟)さん、声出しについては100点満点だったかもしれないけれど、寝坊して遅刻することが、やたらに多かったし、身だしなみのほうにも、問題があったなあ。

 寝ぼけ眼に無精髭を生やして、少し遅れて職場に到着し、夕礼の時間、平林副店長に、
てめえ、ナメてんのかよ! 辞めさすぞ!
 などと怒鳴られたなんていうことも、ありました。
 そんなようなことは、結構ちょくちょく、ありました。

 うん。
 やっぱり、どちらにせよ、桐島さんに一票!


2007年6月3日(

 出勤した私、バックルームにいた野沢さんに、挨拶。

 そしたらば野沢さん、陽気な声で、返事の代わりに、奇っ怪なことを。

よお、ヘンタイ長。来たか、ヘンタイ長。ヘンタイ長!

 全く。やめてくださいよ。恥ずかしいじゃないですか。

 そんなに大きな声で、自己紹介しないでくださいな。


2007年6月9日(

 パン屋のアルバイト、一人もいなくなってしまったそうです。

 売り場で出会った後藤田チーフが、そう、語っていました。

 昨日のこと。
 佐藤さんの従姉妹として知られる松野さん、出勤時間になっても、姿を現さなかったらしいのです。

 数十分後、彼女から、店に電話があったそうです。
 「万引きで捕まって、今、警察にいる。今日はバイトは休む」という内容の、電話が。

 そりゃあ、休まざるを得ないでしょうな。

 それから一夜明けた、今日。
 やっぱり、出勤時間になっても、松野さんは姿を現さなかったそう。

 待ちくたびれた後藤田チーフ。彼女の家に電話をしてみると、彼女は、「もうバイトは辞める」と。

 こうして、松野さん、退職することになったそうなのです。

 なんともふざけた話ですが、彼女が辞めてしまうという、そのこと自体は、仕方のないことでしょう。
 そうせざるを得ないほど重い罪を、彼女は犯してしまったのですから。

 別に彼女、自分の勤める店で万引きをしたわけじゃありませんし、店からクビをほのめかされたわけでもありません。
 それでも、辞めてしまうのは仕方のないこと。いやむしろ、ここで辞めておくのが賢明。
 私には、そう、思えるのです。

 万引き犯という人種が、この業界内において、どれだけ憎まれているかを考えれば、ね。

 それにしても、松野さん。
 見た感じはマトモな人だったのですが、実際には、こんな悪党だったのですね。

 そういえば、以前、彼女の従姉妹である佐藤さんが、言っていました。
 「松野さんは、昔は、どうしようもないクソガキで、今とは全然雰囲気が違った」と。「私は、彼女のことが、大嫌いだった」と。

 うーむ。やはり、「三つ子の魂百まで」ということなんでしょうか。

 仕事を終えた後、私は、佐藤さんと、メールで会話をしました。話題はもちろん、今回の、松野さん事件

 佐藤さんは、従姉妹の醜態について、こう、コメントしていましたよ。

 「我が従姉妹ながら、阿呆としか言い様が…

 だ、な。


2007年6月11日(月)

 一昨日の後藤田チーフ。松野さん事件の他に、もう一つ、別の話もしてくれたんです。

 なんでも彼、今現在、携帯電話を持っていないそうなのです。
 しばらくの間、持たないことにしたそうなのです。

 その理由は、最近、本社から、携帯電話に関することで、厳重注意を受けてしまったから。
 斉藤店長からの報告を受けた本社から、厳重注意を受けてしまったから。

 要するに彼、自主的に携帯電話を解約し、ほとぼりが冷めるまでおとなしくしていよう、と、そう考えたみたいなのです。

 で、その、店長が本社にした報告というのが、どんなような報告なのかというと、それは、こんなような報告だったそうです。
 「ウチの後藤田は、知り合ったマネキンとメールばかりしていて、全然仕事をしない」と、こんなような。

 つまりは後藤田チーフ、「スケベ心に呑まれて本来の職務を怠り、結果、本社から直々に叱責を受けてしまった」と、こういうわけなんですね。

 なるほどなるほど。

 それって、社会人としての道を、大きく踏み外してませんか。


2007年6月14日(木)

 小用があってPOS室に入ったら、古谷チーフが、パソコンに向かってお仕事をしていました。

 日経新聞の愛読者である彼、私に、貴重な情報を提供してくれました。

 古谷チーフ:「あのさ、なんかさ、この何ヶ月かで、ラスボスの株価が、ものすごく値下がりしてるよね
 私:「え!? そうなんですか?」
 古谷チーフ:「そうなんだよ

 そこへ、ドアをバタンと開けて、颯爽と、やってきました副店長。

 副店長:「何? 何の話してんの?」
 古谷チーフ:「なんか、ラスボスの株価が、下がってるんだよ」
 副店長:「ああ。潰れるんじゃね? ラスボス
 古谷チーフ:「ハハハハハ(笑)」
 私:「いや、そんなことはないでしょう……(笑)」
 副店長:「もし、ラスボスがダメだったらさ、ウチに来いよ、ウチに」
 私:「いや、でも、たぶん、ダイジョブですよ……」
 副店長:「いや、ホントにさ」

 どうか、私の行く10月までは。10月までは、なんとか、持ち堪えておくれ。

 私は、絶対に嫌なんです。

 一日も働かないまま失業するなんて。


2007年6月15日(金)

 今現在、鮮魚部門で契約社員として働いている、村井(兄)さん。本日をもって、その契約期間が、終了となるのだそうです。
 明日からは、契約社員ではなく、パートさんとして、ウチの店で、働くことになるみたいです。

 再び、ウチのスーパーの契約社員に昇格するチャンスは、もう、巡っては来ないそうです。
 要するに、正社員になるチャンスも、もう、巡っては来ないということです。
 そのように、村井(兄)さん、会社から、ストレートに、言い渡されてしまったらしいのです。

 今まで、会社のために、身を粉にして働いてきたというのに……。

 気の毒としか、言い様がないです。

 しかし、考えてみれば村井(兄)さんも、変わった経歴を辿っていますよね。
 同じ会社の、同じ店の、同じ部門で、バイト・契約社員・パートと、沢山の身分を経験することになっちゃったんですから。
 一人で、沢山の身分を経験することになっちゃったんですから。

 それなのに、結局、正社員にだけは、なれなかったとは……。

 気の毒としか、言い様がないです。


2007年6月16日(

 例の、リーダー決定選挙の、結果が発表されました。夕礼の時間に、鮮魚の北崎さんが、発表してくれました。

 まずは、アルバイトの、リーダー。

 グロサリー部門の、桐島さんに、決定いたしました。

 さすがは、私が見込んで、清き一票を投じただけの人間です。
 見事に、栄光をつかみ取ってくれました。

 ふぉっふぉっふぉっ。余は満足じゃ。

 ……と、思わず喜んでしまいましたが、確か、ウチの店のバイトの中では、私が、一番のベテランだったはず。

 だというのに、私、リーダーに、選ばれませんでしたね。

 よく考えてみれば、これって、かなり、みっともないことなんじゃないか!?

 さて。気を取り直して、次に、パートの、リーダー。

 昼間のレジを担当している、私の知らない方に、決定いたしました。

 知らない人なので、これ以上は、何も語ることができません。

 最後に、正社員&契約社員の、リーダー。

 鮮魚部門の、村井(兄)さんに、決定いたしました。

 ……おい。ちょっと。待ちなしゃい。

 確かに、村井(兄)さんは、売り場での声出しが、非常によくできています。村井(弟)さんなき今、全従業員で、最も声出しのレベルが高いのは、彼でしょう。
 それに彼は、弟さんとは違って、だらしなくも、ありません。
 彼が、接客のリーダーとして申し分のない実力を持っているのは、よーく、分かります。

 だけれども、だけれども、こんなタイミングで、「社員のリーダー」なんて称号をプレゼントするなんて。

 完全に、ダメ押しのホームランじゃないですか。


2007年6月17日(

 精肉作業場の前で、春井さんと岸さんに、告げられてしまいました。

 なんと、8月に、ウチの店に、某加工肉メーカーの、某マスコットキャラクター集団のうちの一人が、やってくることになったそうなのです。
 ちょうど、かつて、ムーミンがやってきた時と、同じような感じで。

 着ぐるみの中に入るのは、おそらくは、春井さんか、高橋さんになるそうです。

 前回、ムーミン役をやらせてもらった私。今回も、着ぐるみの中に入りたくて入りたくて仕方がないのですが、残念なことに、今の私には、それはできません。

 ムーミンの時もそうだったのですが、今回のマスコットキャラクターを呼ぶのは、精肉部門。精肉部門が、精肉部門の予算を使って、独力で、呼ぶのです。
 であるからして、グロサリー部門に所属している私には、入ることができないのです。
 精肉の人たちに、道を譲るしかないのです。

 くそう。
 嫉妬。大嫉妬。

 やはり、肉屋を辞めるべきではなかったのか!?


2007年6月22日(金)

 感動しました。
 夢で、すごい人と話してしまったんです。

 話してしまったんですが、話してしまったんですが……。
 どこで、どんな話をしたのかが、思い出せないのです。

 肝心の、その、「すごい人」が、誰であったのかも、思い出せないのです。

 どうすればいいですか?


2007年6月23日(

 バイトが全滅していたパン屋に、今月の19日、新しいバイトが入りました。

 本日、その人に、初めてお目にかかりました。

 どことなく、村井(弟)さんを彷彿とさせる人物でした。

 顔も割と似ていましたし、「体格が良い」という点も似ていました。
 もちろん、いくら体格が良いとはいっても、横幅に関しては、オリジナルに完敗していましたが。

 もしかしたら彼、村井(弟)さんの生まれ変わりかもしれませんね。

 いや、まだ、村井(弟)さんは、生きてるんですけどね。


2007年6月24日(

 夕礼の時間、桐島さんが、店長&副店長から、品物を渡されていました。
 それは、アルバイトのリーダーになったことを賞して、会社が用意したプレゼント。いわゆる、素敵な粗品というやつです。

 その正体が何だったのかまでは分かりませんが、どうやら、食べ物だった様子。
 かなり上等なものだったらしく、店長と副店長は、「桐島君に渡さずに、二人で山分けして、持って帰っちゃおうかとも思った」などと、冗談を言っていました。

 おめでとうございます、桐島さん。
 みんなからバイトのリーダーに選ばれた上に、こんな豪華な賞品までもらえてしまうなんて。

 ちちちちちちちち、ちっとも、ちちちちちっとも、うらやましくなんかないぞー。


2007年6月27日(水)

 夢を見ました。

 黒柳徹子の家を飛び出し、サメがウヨウヨいる海に飛び込む。

 そんな、夢でした。

 どこまでも、世紀末的だな、おい。


2007年6月30日(

 閉店業務も終わった後の、休憩室。
 私、渡辺チーフに、お頼み申し上げました。
 「またしても旅に出るから、7月5日、休みをくれ」と。

 チーフは、即座に、険しいお顔で、
無理!
 と、返してくれやがりました。

 でもそれは、彼なりの、ジョークだったみたい。
「エェーッ!?」
 と、私が驚きの声を上げたら、すぐに手のひらを返し、
「いいよ」
 と、休みを取ることを、認めてくださいました。

 今回もまた、移籍当初の約束通り、無事、休日ゲット。
 良かった。
 相変わらずの、理解がある職場で。

 ほっと胸をなで下ろした私は、渡辺チーフと、同じくその場に居合わせた副店長に、「7月5日は、長篠に行く予定なのだ」と、明かしました。

 それをきっかけにして、でした。

 実にホットな、長篠合戦トークが、始まってしまったのは。

 我々3人は、数分間に渡り、馬場信春・内藤昌豊・山県昌景らの死を、惜しみました。

 本当に、良かった。
 理解がある職場で。
 いろんな意味で、理解がある職場で。



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