2007年7月の日記


2007年7月1日(

 今野さんは、私のことを、「先輩」と、呼びます。
 今日もまた、そんな風に、呼ばれました。

 私にはそれが、照れくさくって照れくさくって、仕方がないのです。

 だってそうでしょう。
 グロサリーのお仕事に関していえば、私は彼に、いろんな質問をぶつけては、教わってばっかり。
 逆に、私のほうから教えられることなんていうのは、なんにもないわけなんですよ。
 なにしろ、実際に先輩なのは、私ではなく、今野さんのほうなんですから。

 そりゃあ、照れくさくも感じますってば。

 だからさ、そうだよ、今野さん。
 私のことは是非、「後輩」とでも、呼んでやってくれたまえ。


2007年7月7日(

 売り場にて、後藤田チーフから、聞かされました。

 昨日、佐藤さんが、ケガをしてしまった、と。
 ミートスライサーの刃で、指を切ってしまった、と。
 幸い傷は浅く、切断にまでは、至っていないそうですが。

 昨日は本来ならば、佐藤さんではなく、高橋さんが出勤の日。
 しかし、高橋さんは用事があって来られないために、代わりに、佐藤さんが出ることになっていたのだそうです。
 あらかじめ、そういう話に、なっていたのだそうです。

 ところが、どういうわけか佐藤さんは、出勤時間の午後6時を回っても、姿を現さなかったそう。

 自宅で、寝てたらしいのです。

 彼女がようやく目を覚ましたのは、7時半
 大慌てで職場に走り、山積みになった仕事を、大急ぎで叩きのめし……。

 で、ミートスライサー掃除で、アウト

 と、こんな具合だったみたいです。

 負傷した彼女は、すぐに早退。
 傷が良くなるまでの間、バイトをお休みすることに、なったそう。

 佐藤さん。一日も早い回復を、お祈りしています。

 後藤田チーフから、ひと通り話を聞いた後、今度は精肉作業場の前で、古谷チーフと、お話。

 彼によれば、今日は、精肉のアルバイトが、一人もいないとのこと。

 高橋さん、今日も、用事があるとかで、来られないらしいのです。

 なんたることか!

 私が肉屋に在籍していた3年弱の間には、ただの一度も、「今日は肉屋に、バイトが一人もいない」なんて状況になることは、なかったのに。
 相棒が出勤できなくなったなら、私は、必ず、どんなに遅くなっても、必ず、職場に駆けつけていたのに。

 そんな、肉屋の連勝記録が、私がいなくなってから、たったの2ヶ月ちょっとで、ストップしてしまうなんて。

 よーく、分かったぞ。
 私には、よーく、分かった。

 自分が、いかにヒマ人であったかが。


2007年7月8日(

 今日もまだ、佐藤さんは、復活せず。
 そして今日もまた、高橋さんは、お休み。

 やっぱり、用事があるとかで。

 ぐわー。

 さてさて。本日の私、仕事から上がる時に、店長から、シュークリームをいただいてしまいました。

 ありがたや、ありがたや。

 去年の11月11日の日記にも記した通り、私、冬眠のために、こういう甘いものを食べて、太っておく必要があるんですよ。
 たぶん、そうに違いないと思うんですよ。

 まあ、今は、もろに夏なんですけどね。


2007年7月9日(月)

 今年の大河ドラマである、『風林火山』。
 テレビでやってるやつを録画する機械を駆使して、現在までのところ、全話、欠かさず見ております。
 近年稀に見る良作だと感じ、全話、欠かさず見ております。

 中でも、昨日の放送、シビれました。
 ドラマ自体も、もちろん素晴らしかったのですが、どこが一番シビれたかというと、断然、本編終了後の、次回予告。
 来週のタイトルは、「両雄死す」。物語は、「上田原の戦い」という、中盤の山を迎えるんですが、その予告が、最高に燃えたんです。
 泣きそうになりました。

 昨夜のうちに、録画したものを見終えた私、あの、神がかった次回予告に、思ってしまいましたよ。
 「来週は、ものすごい高レベルな、熱いドラマが展開するに違いない。そして、それに感動した、にわか戦国ファンたちが、上田原古戦場に押し寄せるに違いない」と。

 これは大変だ。善は急げ。混み混みになる前に。

 と、すぐさま私、パソコンを起動し、準備を始めました。

 上田原古戦場の見どころを調べたり、近くにあるその他の史跡を調べたり、周辺の地図を印刷したり、電車のルートやら時間やらを調べたり、それ以外のどうでもいいことを調べまくったり。
 いろんなことを、行いました。

 翌日である、7月9日。つまり今日にでも、日帰りで、長野県は上田市にある、上田原古戦場に、突っ込んでいかねばならんと思いましてな。

 しかし、結局本日は、上田原には、行けずじまいでした。

 昨日の深夜に、準備を開始。ネットの海の回遊に夢中になっていたら、一睡もせぬうちに、今日の昼間になってしまったもんで。


2007年7月10日(火)

 今日も、上田原には、行きませんでした。行けませんでした。
 なにやら、現地周辺の天気の腹具合が、良くないというような予報が出ていたのでね。

 実際には、雨は、降らなかったみたいなんですが。


2007年7月11日(水)

 なぜだか、痒くて痒くて仕方がありませんでした。
 先日、ヤマビルに血を吸われた、その痕が。

 特に、それが理由というわけではないんですが、今日も、上田原には、行きませんでした。


2007年7月12日(木)

 佐藤さんが、無事に、職場復帰を果たしました。
 おめでとうございます。
 くす玉、パカーン。

 さて。本日、ちょっと野暮用がありまして、実に久々に、精肉作業場の中に、入ったんです。
 そこで私、強く、感じてしまいました。

 生肉の臭いを。

 はっきりいって、とっても、肉臭かったんです。

 肉屋の作業場なんだから、当たり前といえば、当たり前なんですけどね。

 思い返せば、このスーパーで働き始めた、初日。初めて精肉作業場に入った時にも、同じように、強烈な肉臭を感じたもんです。

 しかし、肉屋で働く日々を重ねるうちに、肉の臭いは薄れていき、2ヶ月と経たないうちに、何の臭いも感じなくなりました。

 慣れって、恐ろしいもんですね。

 そうやって消え去ったはずの肉の臭いが、今は、蘇っている。

 私はもう、肉屋とは遠い人間なのだということを、痛感させられました。

 なんとも、寂しいもんですね。


2007年7月14日(

 職務を全うし、職場を後にしようとする私に、店長が、せんべいとアーモンドチョコを、くださいました。

 ありがとうごぜぇますです。
 嬉しいです。
 お菓子がもらえるだなんて、嬉しくて仕方がありません。

 さすが私も、かつて、古谷チーフの部下だっただけのことはありますね。


2007年7月15日(

 休憩室の壁の一角に座る、「競合店の広告」の文字。
 以前からあるこの見出しの、その下に、どういうわけか、ラーメン屋の広告が、貼り付けられていました。

 仕事を終えた私が、呆然とそれを眺めていると、後ろから、副店長が。

 副店長:「いいだろ、これ。ここのラーメン、俺のオススメなんだよ」
 私:「これは……競合店の広告……なんですか?」
 副店長:「そうじゃないけど、俺のオススメ!」

 なるほど。オススメなのですか。
 では、是非今度、食べに行ってみよう。割と、近場にある店ですしね。

 それにしても、どうしてこの人は、こんなところで、ラーメン屋の宣伝をしているのだろう?

 帰宅後。録画しておいた、本日放送分の『風林火山』を、観賞しました。

 期待はずれの、イマイチな出来でした。

 武田晴信役の、市川亀治郎さんの顔芸だけは、ものすごく、ものすごかったんですけどねえ。


2007年7月16日(

 やりました!

 私、踏んでしまいました。
 当サイトの、アクセス数7777。
 幸せのキリ番を、踏んでしまいました。

 こうして、幸運の女神は、私に微笑みかけました。
 きっと、私の前途は、明るいに違いありません。

 このサイトの前途は、どうだか知りませんが。


2007年7月18日(水)

 こないだ副店長が猛プッシュしていた、某ラーメン屋に、足を運んでみました。
 どれだけ美味しいのか、確かめに行ってきました。

 自転車を漕ぐこと、十数分。午後3時ごろ、目的の店に到着。

 入口の前には、「支度中」という、札が掛かっていました。

 涙を呑んで、来た道を引き返しました。


2007年7月19日(木)

 今日は店長、私に、アイスをくださいました。

 サンキューでございます。

 ここのところ、彼、やたらに、いろんなものを進呈してくれますね。

 人の親切心を疑うのは良くありませんが、これは、ただ純粋に気前がいいというだけのことなのでしょうか。それとも、何か裏の意図があってのことなのでしょうか。

 その辺のところはよく分かりませんが、いずれであるにしても、食い物がもらえるなら、それで僕は、大満足です。


2007年7月20日(金)

 朝、目を覚ましたと思ったら、朝じゃない。

 もう、夕方でした。

 いやあ。
 今日も一日、頑張ったなあ。


2007年7月21日(

 ベーカリー部門に、新しいバイトが入りました。

 これで、パン屋のアルバイトの穴は、2つとも、埋まったことになります。
 ギギの腕輪とガガの腕輪が、共に揃ったという感じですね。

 閉店後の休憩室。
 副店長に、「関ヶ原でヤマビルに血を吸われて、血が止まらなくて大変だった」という話を、して差し上げました。

 そうしたら、副店長から、一喝をされてしまいました。
 愛のこもった、一喝。

バカ野郎! 昔の武士は、そんなもんじゃねえんだよ!

 という、一喝を。

 あ、ありがとうごぜぇます、副店長。
 そして、ごめんなせぇ、幾多の名もなきサムライたち。

 俺、俺、俺、甘ちゃんだったよォ!!


2007年7月23日(月)

 なぜだかそういう気分になったので、自分の部屋の、掃除をしてみました。

 結構時間はかけたんですが、大して、綺麗にはできませんでした。

 とにかくもう、散らかり放題の、ヒドいお部屋だったもので。

 まったく。信じられない。

 住んでる奴の、顔が見てみてえよ。


2007年7月24日(火)

 件のラーメン屋に、再試合を挑んできました。

 自転車で店に着いたのは、昼過ぎ。今回は、無事に、店内に入ることができました。

 店の中は、かなり、混み合っていました。
 なかなかの、人気店みたい。これは、期待ができそうです。

 4人待ちの、じれったい待ち時間を乗り越え、ようやく、カウンターに腰かけた私。お目当てのラーメンを注文し、もうしばらく、待ちます。

 やがて、やってきた、ラーメン。早速、食べてみます。

 うん。美味しい。
 麺もいいけれど、特に、スープがいい。コクがあって、実に美味い。

 どうも、ごちそうさまでした。
 食べに来た、甲斐がありました。

 はい。以上で、ラーメンレポート終わり。

 美味しかったのは良かったんですが、おかげさまで、だいぶつまらない感想文になりましたね。


2007年7月26日(木)

 出勤してからすぐのこと。
 用事があって精肉作業場に入ったら、そこで、古谷チーフから、聞かされてしまいました。

 平林副店長が、来月の1日付けで、異動、するそうなのです。
 異動先の店舗では、店長に、なるそうです。

 おお。これはなんとも、めでたいことだ。

 しかし、同時に、寂しいことでもあります。

 まさか、私がバイトを辞めるより先に、副店長が、いなくなってしまうなんて。
 最後まで一緒に働くことが、できないなんて。

 今日は、副店長はお休みなので無理ですが、今度会った時に、しっかりと、お祝いと、お別れと、お礼の言葉を、言っておかなければなりませんね。

 ちなみに、平林副店長が異動していく店舗なんですが、なんと、ラスボスタウンにある、店舗。磯部さんが、副店長を務めている店舗なんです。

 実は、この店舗は、私が10月から働くことになるであろうラスボス本社と、直線距離にして、数百メートルしか離れていない所にあるのです。

 まさに、目と鼻の先。
 どう見ても、ご近所。

 私たち、一旦は離れ離れになりますが、またすぐに、新しい土地で、顔を合わすことができそうです。

 いやしかし、なんという巡り合わせでしょうか。

 きっと、私と副店長とは、何か、不思議な縁でつながっているのですね。

 「腐れ縁」といってしまえば、それまでですが。


2007年7月28日(

 男子更衣室に並ぶロッカーの、その上に、なぜだか、漫画・『ゲームセンターあらし』の、第5巻が、置いてありました。

 世にも恐ろしい、怪現象ですね。

 この本が誰の持ち物なのかは、私は存じませんが、まあ、おそらくは、後藤田チーフ辺りの所有物でしょう。


2007年7月29日(

 私が、このスーパーでバイトを始めてから、昨日で、丸3年になりました。

 もう、3年ですか……。

 思えば、遠くへ来たもんだなあ。

 ずっと、同じ店で働いてるんですけどね。


2007年7月30日(月)

 26日に異動話を聞いてからこっち、一度も、平林副店長に会えていなかった私。
 ようやく今日、会うことができました。

 今日は、バイトはお休み。自分の職場に、お買い物に繰り出したのです。
 副店長に会うために、わざわざ。
 彼は、今日が、ウチの店での、最後の出勤日。送辞を述べるなら、今日が最後のチャンスですからね。

 青果の売り場で、副店長殿を見つけた私。
 二人の、会話が始まります。

 私:「どうも。ご栄転おめでとうございます」
 副店長:「おお、こんちは。いろいろと、お世話になりました」
 私:「いえいえ。こちらこそ、お世話になりました。……ラスボスタウン店に、行かれるんですよね?」
 副店長:「そうだよ」
 私:「ラスボスの本社も、ラスボスタウンにあるんで、10月からはたぶん、研修で、俺もラスボスタウンに行くことになると思うんで。そしたら、ちょくちょく、店に顔を出しますよ」
 副店長:「そっか。お前もラスボスタウンか〜。それじゃあまた、10月からは、よろしくな。一足先に、向こうへ行って待ってるから(笑)」
 私:「はい。ラスボスでは、たぶんああいうの扱ってないと思うんで、ライダーチップス第3記録、そちらに買いに行きますんで、よろしくお願いします
 副店長:「(笑)」
 私:「近くに清水さんの店もあるから、清水さんのほうでも買おうかと思ってるんですけどね」
 副店長:「いや、清水の所では買うな。絶対に買うな
 私:「え?」
 副店長:「清水のとこは大型店だから、あんなの買っても売り上げにはあんま影響出ないけど、俺のほうは小さい店だから、あれはかなりデカいから。全部、俺の店で買え
 私:「ああ。はい。そうなんですか。じゃあ、全部、そちらでお願いすることにします(笑)
 副店長:「そうだよ。それでいいんだよ
 私:「……向こうへ行ったら、清水さんと3人で、カレーパーティーでもやりましょうか?
 副店長:「やらねえよ! 絶っ対、やらねえ!(笑)
 私:「そうですか。それは残念ですね」
 副店長:「……それじゃあ、今日は俺、まだ、いろいろとやらなきゃいけない仕事が残ってるから、またな。今度は、ラスボスタウンで」
 私:「はいッ。では、お疲れさまです。新しい店に行っても、頑張ってくださいね」
 副店長:「おう。お互い、頑張ろうよ」

 こうして、私と平林さんとは、しばし、お別れ。

 ところで。平林副店長が異動してしまうということは、当然、新しい人が、ウチの店の副店長になるわけなんですが、実は、その、新しい人というのが、あの方なんです。
 今現在、当店の青果のチーフを務めている、秋田さんなんです。

 彼もまた、昇進することになったのです。
 おめでとうございます。

 そして、よろしくお願いします。
 これからは、副店長として、よろしくお願いします。

 せっかく昇進したのに、任地は変わらず。
 職場のメンツも、ほとんど変わらず。
 もう一つ出世気分が味わえず、もの足りないかもしれませんが、どうか、よろしくお願いします。



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